止まらないイタリアの武漢化

2020年3月1日AM8時現在のイタリアの新型ウイルス感染者は1128人。このうち死者は29人。多くは基礎疾患のある高齢者です。また治癒した者は50人。なお感染者1128人にはこれらの治癒者も含まれます。

治癒した人々を除いてもイタリアの感染者数は千人を越えました。相変わらず中国、韓国に次いで世界3番目の感染者数です。

また、数字は週末初めのデータなので、日曜日の今日の実際の感染者数はさらに増えていると考えられます。それは月曜日に明らかになるでしょう。

ちなみに今この時の世界中の全ての感染者数は86983人。このうち中国本土の感染者数は79824人、韓国が3526人、日本はクルーズ船関連を除いて241人です。

イタリアの新型コロナウイルス感染者数は、2月21日から22日にかけて、それまでのわずか3人から229人へと爆増しました。北部ロンバルディア州の小さな町で集団感染らしいケースが発生したのです。

イタリア政府は即座に町とその周辺自治体を封鎖しました。警察と軍隊が出動してのシビアな動きです。非常事態を通り越して戒厳令の様相さえ呈していました。

またイタリア政府はそれ以前の先月末、中国での新型ウイルス感染爆発が明らかになるや否や、世界でいの一番に中国便を全面禁止にしました。その動きは中国を激怒させると同時に世界を驚かせました。

その素早い決断は、主としてパンデミックへの恐怖からなされたものでした。イタリアの果敢な措置は、ウイルスをシャットアウトするのに有効と見えました。ところがそのときには既に遅く、イタリアには中国発の新型ウイルスが多く侵入していた、という状況であったようです。

それがロンアバルディア州での感染爆発になりました。そればかりではありません。厳しい封鎖措置で同地域からの感染拡大は阻止されているはずなのに、感染は場所を選ばずに広がっています。そのことがウイルスの以前からの深い侵入また浸透を表しているように見えます。

なぜ欧州の多くの国の中でイタリアがあっけなくcovid-19の巣窟になってしまったかを考えると、筆者はどうしてもイタリア政府の失策を指摘せざるを得ません。

イタリア政府は2019年3月、低迷する経済へのテコ入れを主な理由に中国の「一帯一路」への支持を表明。そこからさらに一歩踏み込んで、G7国として初めて中国政府と連携する旨の覚書を交わしました。

「一帯一路」構想に対するEUやアメリカなどの警戒感に不安を抱いていた習近平政権は欣喜雀躍。イタリアとの友好を急速に且つ強力に推し進めました。結果、中伊の関係は深まりヒトとモノの往来が急増しました。

イタリアは欧州の他の観光大国をあっさり追い抜いて、中国でもっとも人気の高いヨーロッパの訪問先となり、中国人観光客も急激に増えました。その結果イタリアは、フランス、スペイン、イギリスなどの観光人気国を尻目に、Covid-19にも深く愛される国になってしまった。。

今のところ筆者のこだわるところを指摘する論者はイタリアにはいません。あえて言えば、ミラノの生体医療専門家が、新型コロナウイルスは遅くとも1月半ば頃にはタリアに侵入していた可能性が高い、と主張していることぐらいです。

さらにそのことに関連して、新型コロナウイルスは中国では昨年の12月ではなく、夏の終わりから秋口にはすでに蔓延していたかもしれない、と言い出す医療専門家もいます。たとえそうだとしても、恐らく中国は永久にそれを認めることはないでしょうが。。

だがイタリアに新型コロナウイルスが早い時期から侵入していたかどうかについては、今後調査研究が深まる過程で明らかにされる可能性があります。いうまでもなく今重要なことは、感染拡大の終息であって、ウイルスの襲来時間の解明ではありませんが。

イタリアにウイルス感染が拡大した不幸は、あるいは単純にイタリアが安全対策を怠ったことが理由なのかもしれません。あっと驚くような優れた部分と、間の抜けただらしない面を併せ持つのが、イタリアという不思議の国です。

世界で初めて中国便をシャットアウトするような危機管理能力の高さを示す一方で、破れた網で新型コロナウイルスを一網打尽にしようとでもするような、杜撰な防御策があるいは実行されたのかもしれません。その答えは遠くない未来に必ず明らかになることでしょう。


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