石橋をたたき、またたたいては渡る

新型コロナ感染拡大を防ぐために欧州で最も厳しく且つ最も長くロックダウンをしてきたイタリアは、5月4日から段階的に封鎖を解除していくことになりました。

全土に渡るイタリアのロックダウンは3月10日に始まりました。国民は自宅待機を命ぜられ、医療とライフラインに必要な仕事以外の経済活動は全て禁止されました。

累計およそ19万8千人の感染者と、2万7千人の死者が出たあとの4月26日、イタリアの1日あたりのCovid19死者数は、3月14日以来もっとも少ない260人となりました。

ロックダウンの段階的解除はそのタイミングで発表されましたが、1日あたりの新たな感染者数や集中医療室患者も減少し、逆に治癒した患者の数は増えています。それらの事実が規制緩和の決め手となりました。

段階的解除の主な内容は:

5月4日の月曜日から製造業や卸売業及び建設業の再開を認める。人々の運動のための外出、公園への出入り、少人数で且つマスクを着けての親族との面会も許可する。

一方、許可のない人々の州境をまたいでの往来は、5月4日以降も継続して禁止。また学校も引き続き9月までは休校とする。

厳禁だった葬儀も、5月4日からは参列者15人までで、且つできる限り屋外で開くことを条件に認める。またスポーツ選手は個人での練習を再開できるが、団体での活動は5月18日まで待つこととする。

プロサッカーリーグ、セリエAの再開は、無観客での試合開催の可能性を含め、今後の検討事項とする。

レストランは、5月4日から客が店に立ち寄ってのテイクアウトの営業も認める。ただし料理は自宅で消費されなければならない(ロックダウン中はレストランは料理の宅配サービスのみ許されていました)。

5月18日からは商店など小売業の営業、美術館、博物館、図書館などの開館が許可される。またその2週間後の6月1日からは美容院やレストラン、カフェ、バールなどの飲食店も全面解禁とする。

イタリアは2月22日、北部ロンバルディア州での感染爆発を受けて同州の一部地域の隔離・封鎖を閣議決定しました。3月9日にはさらなる感染拡大を受けてロックダウン措置を同州の全域に拡大。それでも感染が爆発的に増え続けたため、3月12日には全土封鎖に踏み切りました。

それは医療と食料とライフライン従事者以外の国民を、それぞれの自宅に押し込める前代未聞の厳しいロックダウンでした。地域限定の最初のロックダウンから2ヶ月余り。イタリアの施策は効を奏して、未だに死者は多いものの感染拡大の勢いは収まりつつあります。

言うまでもなくワクチンや治療法が開発されるまではまったく予断を許しません。しかしイタリアは、ロックダウンによって瀕死の重体に陥っている経済を稼動させなければ、イタリア共和国そのものが崩壊しかねない瀬戸際に立たされました。

それを受けて段階的な封鎖の解除を決定しました。全ての規制緩和は感染状況によって柔軟に変更されます。また感染が再び拡大した場合には、イタリア政府は即座にロックダウンを再導入する腹積もりです。

イタリアの動きはイギリスを除く欧州主要国と近辺の国々にも波及しようとしています。

facebook:masanorinakasone

official siteなかそね則のイタリア通信

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください