ギリシャ・エーゲ海の島々の食日記~2019年までの番外編

クレタ島のヤギ煮込み

 

ギリシャ・エーゲ海の島々の中でも最大、且つ最南端のクレタ島は、肉料理が豊富です。島でありながら肉料理が発達したのは、アラブ人の襲撃を恐れた古代の人々が海から遠い内陸部に住まいを定めたからです。

ドデカネス諸島のうちの小さなレロス島では、豊富な魚介料理に出会いました。その中では日本の刺身に影響された「刺身マリネ」の一生懸命さが印象的でした。

島が大きいほど肉料理が発達しているように見えるのは、陸地が広い分野生の動物も多い、というのが理由なのでしょう。狩の獲物が増えればレシピも多様化します。

また家畜の場合でも、土地が潤沢なほど牧草や飼料が充溢するため飼育が盛んに行われます。そうやってまたレシピが充実する、という当たり前の状況もあるに違いない。

数年前に滞在した同じギリシャのロードス島には、肉料理と魚介料理がほぼ似通った割合で存在していました。レシピも盛りだくさんで、味もとても良かった。

ロードス島はギリシャ国内4番目の広さの島。大きくもなく小さくもない規模。あるいは大きいとも小さいとも言える島。そのせいで料理も肉と魚が満載、というところでしょうか。

10年程度をかけて中東や北アフリカを含む地中海域を旅する、という筆者の計画はイスラム過激派のテロのおかげで頓挫しました。そこに新型コロナが加わってさらに状況が悪くなりました。

筆者は命知らずの勇気ある男ではありませんので、テロや誘拐や暴力の絶えない地域を旅するのは御免です。また新型コロナ禍中での旅もぞっとしません。

それでも来年以降は、たとえコロナワクチンが開発されなくても、少しづつ旅を再開しようと思っています。ここまでの体験で、感染防止策を徹底すれば旅先でも大丈夫ではないか、と考えるようになりました。

しかし、ワクチンがない場合には、筆者の地中海紀行は来年以降も、ギリシャを中心に回る腹づもりです。アラブまた北アフリカの国々は、「将来機会がある場合のみ訪ね歩く」ときっぱり割り切っています。

その際の食の探訪のひとつは、アラブ圏で大いに楽しもうと考えていた、ヤギ&子ヤギまた羊肉料理をしっかりとメジャーに据えて、食べ歩くことです。

これまでにトルコでもギリシャのクレタ島でもドデカネス諸島でも、はたまたスペインのカナリア諸島でも、ヤギ&羊料理は目に付く限り食べ、目に付かない場合も探して食べ歩きました。

また、テロが横行していなかった頃のチュニジアでも同じ料理を求めました。そうした中での驚きは、なんと言っても昨年のクレタ島。ヤギ&羊肉料理のレシピの豊富と美味しさに魅了されました。

そこで食べられるのは家畜化された普通のヤギ&羊肉。その一方でクレタ島には、クリクリと呼ばれる原始的な野生ヤギが生息していて、島のシンボルとして大切にされています。

クリクリ種の野生ヤギは絶滅危惧種。保護されていて食べることはおろか捕獲も厳禁ですが、島人にはクリクリヤギへの特別な思い入れがあるようです。

クレタ島は四国の半分弱ほどの大きさの島。見方にもよるでしょうが決して小さくはありません。そこでの筆者のこれまでのヤギ料理食べ歩きは、島の第2の都市ハニア郊外にあるリゾートの周辺域のみです。

そこだけでも多様で目覚ましいヤギ&羊肉料理に出会いました。島全体を巡り歩けばさらに豊かなレシピに出会えるに違いありません。

世界には一生かけても訪ねきれない素敵な場所がゴマンとあります。そこも旅したいと思いますが、クレタ島のヤギ料理探訪も中々捨てがたいものがあるのです。

 

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