温暖化の恩恵は悪魔の囁きか

地球全体の気温上昇を1.5℃までに抑えようとするCOP26は紛糾し、会議期間が一日延長されたにもかかわらず、またもや問題を先送りにする採択をしてお茶を濁しました。

誰もが問題の核心を知っていて、誰もがエゴむき出しにして自らの犠牲を逃れようとしています。

地球を健康体に戻そうとする試みは相変わらず困難を極めています。

太平洋の島国をはじめとする被害国を除いて、CO2大量排出国のほとんどが、問題を真に自らの痛みとして捉えられないことが混乱の原因です。

地球規模で破滅をもたらすかもしれないと恐れられる温暖化と、それによる気候変動は、ことし夏のイタリアに48,8℃という欧州記録の異常気温をもたらしました。

欧州ではその1ヶ月前の7月、ドイツ、ベルギー、オーストリアなどを豪雨が襲って河川が氾濫し、多数の人命を含む大きな被害が出ました。

温暖化は単に気温を上昇させるだけではなく、異様な酷暑、豪雪、山火事、巨大台風、海面上昇などの異常気象をもたらすとされています。

異常気象は高温と冷温が交互にやって来るような印象もあって、特に冷温やドカ雪が降ったりすると、熱をもたらすという温暖化は実は嘘ではないか、という誤解を与えたりもします。

トランプ前大統領に代表されるポピュリストらは、そのことを利用して温暖化理論はまやかし、と叫んで世界をさらに混乱に陥れたりします。

筆者の小さな菜園の野菜たちにも一見混乱がもたらされます。温暖化によって野菜の成長が極端に早まり、あっという間に花が咲いて結実します。それは植物の早い死滅を意味します。

ところが一方で、気候がいつまで経っても温暖なために、夏の終わりには命を終える野菜たちが長く生き続ける、という一見矛盾した現象も起きるのです。

筆者の菜園ではほぼ毎年それに近い変化が起きています。しかし自然の変化は異様なものではなく、人間だけが不審がる「自然の常態」、というのがほとんどだと思います。

そうはいうものの、近年はそれが普通の域をはるかに超えて、実際に「異変」になっていると感じられることが多い。つまりそれが温暖化の影響ということなのでしょう。

異様さは近年はますます目立つようになっています。例えば筆者の菜園では2016年も野菜が極端に長命でした。その年は12月近くなっても多くの野菜が枯れなかったのです。

だが長命だったのはほとんどが夏の葉野菜でした。実が生る果采類は、夏の終わりから秋の初めには普通に命を終えました。

ところがことしはまた状況が違います。菜園の果菜類が長命で、9月にはほとんどが枯れるピーマンとナスが、11月になっても実を付け続けているのです。

トマトも未だ完全には枯れず、わずかですが実を付けている茎があります。

鮮やかな朱色が好きで、ほぼ観賞用だけのつもりで毎年作る唐辛子も健在です。

唐辛子はもう少し菜園に置いて楽しもうとさえ考えましたが、料理用に欲しいという家族のリクエストに応えて収穫しました。

ピーマンとナスはまだ育ちそうなので様子見も兼ねていくつか残しました。

夏野菜のほかには、冬用に白菜とラデッキオ(菊苦菜)と大根が成長中。

夏の初め、チンゲンザイが異様な勢いで伸び盛り、収穫する暇もないままとうが立ち結実して、そのこぼれ種が再び発芽しました。

またサントー白菜も、チンゲンサイ同様に早く育ち過ぎて倒れました。ところが枯れたと見えた太い茎のそこかしこから再び芽が出て育ち、今度はそこそこに収穫することができました。

両野菜ともに一度枯れたものが夏の間に再生して、収穫できるまでに育ったのです。いわば二期作です。

二期作は温暖な地方で行われる農業。筆者の菜園で起きたことも、やはり温暖化と関係しているのではないかと思います。少なくとも空気が寒冷ならあり得ない現象です。

チンゲンサイとサントー白菜が異常生育をして、収穫前に結実したのは温暖化の負の影響ですが、それらが再発芽したり11月まで夏果菜類が収穫できるのは逆に好影響と言えるのではないでしょうか。

もっともそうやって喜ばせておいて、最後には大きなドンデン返しがありそうにも見えるのが、不気味でないこともないのですが。。

 

 

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