ドラマと実録のハザマに遊ぶ

コロナ禍が拡大して以来、仕事と仕事の残滓と、仕事まがいの状況や思案に追われて日々を過ごしています。

日英伊の報道や報道ドキュメント(ニュースより長いがドキュメンタリーよりは短い時事や時事問題報告)をTV画面で追いかけ、日英伊語の新聞や雑誌記事を読み、ネットで同様の行為を毎日欠かさずにやっています。

その合間に読書をしテレビドラマを見て菜園を耕します。食料を中心とする買い物にも出かけます。

秋から冬の間は菜園での仕事はほとんどありませんが、他の事案は春夏秋冬ほぼ同じように存在します。

春から秋には旅に出ることも多い。

それらは全て好きなことです。食料の買い出しさえ楽しみます。それは趣味の料理につながっているからです。

あ、そうでした。料理もよくします。

趣味であり仕事(自分と家族への義務という意味)であり、そしてやはり好きなことです。

「仕事と仕事の残滓と仕事まがいの状況や思い込み」とは、TVドキュメンタリー監督である筆者の生活の変化のこと。

筆者は近年TV関連の仕事を減らし続けてきて、それは新型コロナパンデミックで加速し、映像ではなく紙媒体やWEBに文章を書くジャーナリストまがいのもの書きになりました。

一連の行為は仕事のみならず自らの知識欲のためにもやっています。

実は筆者はドラマが好きです。

日本の大学を卒業してロンドンの映画学校に進学したのも、映画、ドラマ、つまりフィクションが好きだったからです。

筆者はフィクションである映画制作を目指し、シナリオや小説も書きました。

だが学校を終えて仕事を始めると、ドキュメンタリーに魅かれてその道のプロになりました。

テレビの仕事をしつつ、新聞雑誌にも雑文をけっこう書きました。

それらの仕事はいま思えばフイィクション作りから遠ざかるプロセスでもありました。

劇場映画ではなくTVドキュメンタリーの監督となり、同じくフィクションである小説は書かず、エッセイやコラムや紀行文などの雑文を書きました。

「書きました」とはプロとして-つまり原稿料をもらって-書いた、という意味です。

プロではないものの、それでも、前述のように小説も書きました。短い作品が小説新潮の月間新人賞の佳作に選ばれたこともあります。文芸誌に掲載された作品もあります。

だがそれだけです。プロとしては、後は鳴かず飛ばずでした。

筆者は、書き、制作し、読み、見るの全てにおいて、どちらかといえば実録よりも虚構が好きです。

虚構はプロとして書いたり制作しなかったから苦しくなく、だからより好きなのだろうと思います。

筆者は読書にもかなりの時間を割きます。

日常の中での読書は、食べ、眠り、活動することと同じ命の一部です。生きがいでもあり存在証明でもあります。

それに比較するとテレビを観る行為はよっぽど重要度が落ちます。だが、それでも結構見ます。

ドラマは有料の衛星日本語放送で観るのがほとんどです。

ロックダウンや準ロックダウンで自宅待機が多い2020年以降は、普通よりも多くのテレビドラマを観ました。NHKがほとんどですが、ロンドンを拠点にする有料放送は民放のドラマも流しますす。

民放の番組は日本より数ヶ月遅れで電波に乗ることが多い。放送局がNHK系列だからなのでしょう。

パンデミック勃発から今日まで見たドラマの中で最も強く印象に残っているのは、三田佳子が主演したNHKの「すぐ死ぬんだから」です。

信頼しきっていた夫に裏切られた妻が、「死後離婚」という珍しい戦いを繰り広げます。彼女が執念深い行動に出るのは、夫が遺言書で裏切りの全てを明らかにしたからです。

夫は死んだ後に妻をいたぶる仕打ちをしました。だから彼女の偏執的な動きにも、おそらく多くの視聴者が感情移入できる。そういう仕組みになっています。

斬新な視点と目覚しいストーリー展開が見る者をひきつけてやみません。

三田佳子の演技は達者を通り越して秀逸でした。ちょっとした仕草や表情が状況を雄弁に物語る、まさに名優の演技の極みです。

そこに小松政夫のペーソスあふれる芝居と余貴美子の説得力あふれる所作言い回しが絡みます。

そればかりではありません。いわくいいがたい安藤玉恵の怪演や、松下由樹、村杉蝉之介、田中哲司ほかの達者な役者たちの面白いやり取りが加わります。

ほかにも長い感想や鑑賞記を書く材料に事欠かない優れたドラマや面白い番組がありました。

むろん首をかしげる出来の作品もありました。それらについて既に少し書きました。

次は『70才、初めて産みましたセブンティウイザン。』という物語について書きます。

ドラマに関してはいったんそこで筆をおくつもりでいます。

 

 

 

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